column


【第45回/“署名してください”】

どうも、「署名」というものが苦手です。
自分たちの主張に賛同する多くの人たちの力を、社会に対して静かにかつ確実にアピール出来る…という利点は確かにあると思います。
ただ、「署名してください」という話を聞く度に、なぜか毎回納得いかない…。
以下、理由を考えてみました。

まずは、そのタイミング。
先方さんはそのことですごく盛り上がっていても、こちらはその件について全く知らないことだってあるわけです。
例えば、駅前に計画されている高層ビルの建築に反対の署名を…と言われた時、そんな計画知らなかった…という状態。
何も知らない時に、「署名してください」はちょっと無理。

次に、関心の度合い。
すべての揉め事は、どちらサイドに付くかの二者択一ではなく、私は興味ありません…という場合だってあるわけです。
例えば、諫早湾干拓問題に対して、開門派・閉門派どちらが良いかと言われても、都内在住の私には(すみませんが)ほとんど興味が沸かないのです。
私には私の興味の対象があります。
諫早湾両陣営の皆さんは、開門閉門について死活問題と思いますので、是非、平和に解決して頂きたい…と願うだけで、「署名してください」はちょっと無理。

最後に、お付き合いの問題。
これは、直接知っている人から署名依頼された場合に限りますが、依頼されるとなかなか断り辛い。
本当は駅前高層ビル計画に賛成…と思っていても、あの人から依頼されたのでついつい反対に署名、なんて事例が多々あるのです。
その場を丸く収めれば取り敢えず困らない…という、最悪の政治選択を助長することだってあります。
良好な人間関係確認のような、「署名してください」はちょっと無理。

ここまで考えてみて、納得したことがあります。
上記3つがクリアであれば、私は喜んで署名するに違いありません。
ただしその場合、署名以前に自分でアクションを起こしているケースがほとんど。
結局、「署名してください」はちょっと無理かも…。

2014/05/17 杜哲也

《homeに戻る》